らせん階段を3階から2階へと下りながら、隆之は深いため息を吐いた。
(素子さんにお断りの話が出来たのはいいが・・・肝心の俺の花嫁をどうするかが決まってないんだよなぁ・・・。)
夕方に壬生屋家当主の妻から素子に想い人がいるという話を聞いていたためか、
どう考えても結婚の対象とは見れなかった。
ならば、あとは希望か未央のどちらか・・・。
(大きくなったらお嫁さんになってあげる・・・か。)
隆之は失礼を承知で、3階へと続くらせん階段の1番下に腰を下ろした。
そしてそのまま思案にふける。
2人が自分をどう思っているか整理しようとして、
最初に脳裏に浮かんだのが希望が昔幼い自分に言ったプロポーズの言葉だった。
それは子供同士のただの口約束でそれが無償で守られるという保証も、必ず守らなければならないという責任もない。
その程度の力しかないただの言葉遊びのようなものだが、
(それでも子供のころはそうなるんだって、当たり前のように信じ込んでたなぁ・・・。)
思い出してみて隆之は呆れたように微笑んだ。
当時の自分は幼すぎて結婚がどういうものなのかよくわかっていなくて、ただ漠然とそうなるもんだと思っていた。
だが、そのときした約束は苦しい奴隷時代の支えでもあった。
必ずここから出てあの幼なじみの女の子にまた会うのだ、と――。
(希望は俺のことが好き・・・。)
彼女本人がその約束を覚えているのかどうかはわからない。
しかし、それでも彼女は自分を好いてくれている。
(俺はどうなんだろう?希望が好きなのか?)
自問自答してみる。
“好き”か“嫌い”かで言えば“好き”だ。
ただ、“希望が好き”=“結婚”には何故かならない。
客観的に考えて、お互いが好き同士なのだから結婚しても問題ないのだと思う。
でも、何かがしっくり来ない。
「あ〜・・・すっきりしねぇなぁ〜〜。」
“希望が好き”=“結婚”の答えにすっきりすればこの問題は解決なのに。
なのに何か足りない要素でもあるのか、どうしても解決には至らない。
どうにもならなくて思わず頭を抱え込む。
・・・と、すると視線の先に未央の自室の扉が見えた。
(そうだよ、お前さんのせいだよ!しっくり来ないのは!!)
隆之は扉を睨みつけてその部屋の主を恨んだ。
そもそも自分は未央と結婚するために苦労して2つのリングを手に入れたのだ。
それを、自分からこんなややこしい事態にしやがって。
死の火山で行動を共にしたときもそうだ。
危ないって言ってるのに全く帰ろうとしなかったし、魔力も使い果たしてたから俺がいなかったらどうなってたことか。
徹夜で圭吾の看病するのを止めようとしたときだって、心配して言ったのに結局ケンカになったし。
(でもまあ・・・悪い娘じゃないんだよな・・・優しくて。)
炎のリングを手に入れるのを諦めなかったことは自らに課せられた運命に抗うため。
圭吾を看病したのは幼なじみを危険の晒してしまった自責の念から。
隆之が憎くてケンカをしたのではなく、ただ自分の意思を貫こうとしただけ。
頑固で聞かん坊だが、
人間だろうがモンスターだろうが関係なく優しくて、傷を負った自分や仲間のことを我が身のように心配してくれた。
ぶつかり合ってしまったけれど、結局何でもかんでも言い合えてよかったのかもしれない。
あの辛かった奴隷時代のことを話しても嫌な気持ちにならなかった。
(お嬢さんと結婚するのが嫌ってわけじゃないんだよな・・・。)
そう。
隆之は未央が嫌いなわけでも結婚が嫌なわけでもない。
死の火山の中の泉でお互いの過去を話し合ったとき、彼女と結婚してもいいと確かに思った。
未央に世界中どこへでも連れてってやると、そう言った。
(そういやあ、お嬢さんの答え聞いてなかったなぁ・・・。)
あの後のドタバタでうやむやになってしまったが、お嬢さんは何て答える気だったんだろう?
「そうだ・・・俺は結局、お嬢さんの気持ちをちゃんと聞いてない・・・。」
ケンカをしたり、一緒に戦ったりもした。
でもお嬢さんが俺を好きなのかどうかはわからない。
自分は自分でリング探しに、お嬢さんはお嬢さんでお家騒動に巻き込まれて振り回されるばかりで、
互いの気持ちを確認し合う暇などなかった。
自分がお嬢さんと結婚したいと思っているのかどうかは未だにわからないままだが、
それはそれでお嬢さんの気持ちは知りたいし知るべきだと思う。
だが・・・、
「お嬢さんが寝てるんじゃな・・・。」
結局はそこに戻ってしまう。
頭を抱えている自分に対して、相手はベッドの中ですやすやと眠っているのだ。
・・・そりゃあ、幼なじみの看病で疲れてるのはわかるけどさ・・・。
隆之は怒りを通り越して、呆れてきた。
・・・と、そのとき、
「・・・ん?」
未央の自室の扉が開いた。
一瞬、本人が出てくるのかなと思ったが、
「くぅん・・・。」
虎鉄だった。
主人の部屋で共に寝ているはずの虎鉄が、他の家人を起こさないようにゆっくりとやってくる。
「どうした虎鉄・・・っておい・・・!」
そのまま足元にやってきた虎鉄にどうしたのかと聞こうとしたが、
虎鉄はその問いには一切答えずに隆之の服を口で咥えて引っ張り出した。
止めようとして服を引っ張り返すが、止める気配はない。
「ちょっ・・・コラ!」
口では文句を言うが、全く歩を止める様子がない虎鉄に引っ張り込まれるように、
隆之は未央の自室に再度足を踏み入れた。


 「ガウ!」
虎鉄は未央が眠るベッドの脇でようやく隆之の服を放した。
そして一声鳴くと、そのまま何も言わずに部屋を出る。
「なんなんだよ、全く・・・。」
隆之は今度は一方的に自分を置いていった虎鉄に悪態を吐くと、
「・・・・・・。」
ベッドの中を覗き込んでみる。
(・・・ったく。どうせぐっすり眠ってるんだろうぜ・・・。)
夫でも恋人でもない男が無断で部屋に入り込んできたのに起き上がることすらしなかったのだ。
よっぽど深く・・・もとい、気持ち良さそうに眠りこんでいるに違いない。
そう思って隆之は未央の顔を覗き込む。
「・・・・・・えっ?」
しかし、その寝顔は隆之が予想していたものとは違っていた。
「涙・・・?」
未央は頬に枕を押し付けて、涙を流しながら眠っていた。
表情は安らかとはほど遠く、眉根を寄せて悪い夢でも見ているような寝顔だった。
それを見て何故だか胸が苦しくなった隆之は、
もっとちゃんとその表情を見ようとして床に膝をついて未央と視線の高さを合わせる。
そうして見ている間にも、また新たな涙が一筋流れて枕を濡らす。
どうやら、泣き疲れて眠ってそのままというわけではなさそうだ。
・・・そういえば、泣き顔なんて見るのは初めてだ。
夢の中でまで泣いているなんて・・・一体何があったんだろう。
未央の泣き顔が見ていられなくて、隆之はせめて未央の涙を拭おうと頬に手を伸ばした。
濡れた感触と頬の温かさを同時に認識する。
頬に手を当てて親指で涙を払っていると、
「・・・さん・・・瀬戸口さん・・・。」
突然未央が瀬戸口の名を呼び、伸ばしていた右腕を掴んできた。
「・・・っ!!」
起こしたのかと思い、隆之は思わず身を固くしてしまうが、どうやらそうではないらしい。
未央は隆之の右腕をそのまま両手で引き寄せて頬に寄せる。
まるで、その様はしがみついているように見えた。
「せと、ぐちさん・・・せとぐち・・・さん・・・。」
どこにも行って欲しくないと、必死にしがみついているように見えた。
(お嬢さん・・・。)
他人の気も知らないで寝ているなんて、とんでもなかった。
この涙こそが、未央の本当の気持ち。
“瀬戸口さんと希望さんが愛し合っているのならばわたくしは瀬戸口さんと結婚するわけには参りません。”
昼、未央がそう言った言葉が脳裏に過ぎるが、それもまた彼女の想いなのだ。
彼女の言葉も涙も、全ては隆之を想って出たもの。
全てが彼女の気持ちだったのだ。
言葉こそなかったものの、未央はずっと隆之に気持ちを伝えていたのだ。
あるいは自身の心を投げ打って行動することで。
あるいは夢の中で涙を流すことで。
(・・・言ってくれないとわからないなんて。俺も随分馬鹿だなぁ・・・。)
もっとちゃんと未央の表情や行動に注意を払っておけば、明確な言葉がなくても気づけたかもしれないのに。
それでもわからなかったのなら聞けばよかったのに。
何もせずに勝手に苛立ち、挙句泣かせてしまったことを申し訳なく思う。
色恋がどうとかではなくて、人としてどうであろう。
奴隷時代が長くて恋愛に疎いとかはもう、言い訳にならない。
(そうか・・・わかった。)
でも、それでも今夜ここに来たことでわかったことがあった。
ならば彼女の涙も無駄ではない。
その答えを今言ってやりたかったが、今はまだそのときではない。
(だから・・・ごめん。明日、な。)
隆之はそう心の中で未央に謝って、もう一度未央の涙を拭った。
――出来れば、朝起きた時には腫れていませんように。
己の右腕に頬を寄せる未央の手をそっと外して、隆之は未央の自室を後にした。


 【虎鉄!】
「!!」
虎鉄が未央の自室から出て屋敷の庭で月を見上げていると、天から声が降ってきた。
辺りを見回すと、別荘の屋根の上からマーリンがこちらを見下ろしていた。
その膝には、眠り込んでいるスラりんとドラきちを抱きかかえている。
【覗き見か?悪趣味だな。】
虎鉄は壁を蹴りながらしなやかな動きで一気に別荘の屋根へと駆け上がった。
【ほっほっほっ・・・。なかなか面白いものを見させてもろうたわい。】
【ヲイ。】
【・・・というのは冗談でじゃな。
 夜中に厠が近くなって起きたらクックルとスラフィーネ、
 あとピエールの3匹がいないとこの2匹が騒いでおってな。
 心配だから探しに行くと聞かなくて。
 ・・・まあ、ピエールはどうせ修行とか稽古とかだろうがな。
 で、探しているうちにこの子らが眠ってしまったからせっかくの月夜だし眺めていたのじゃよ。】
【そうか、それは大変だな。】
マーリンの話を聞いて、虎鉄は微笑ましそうに言った。
【いやいや、お前さんにはかなわんよ。
 ・・・昔と今の主人同士で三角関係。
 あ、未央ちゃんの姉も入れて四角か。
 仕えている方は気の休まる暇もないじゃろ。】
マーリンの言葉に虎鉄は苦笑する。
【そうだな。
 全員に幸せになって欲しいとは思うが。】
【その割には、未央ちゃんには手を貸してやったんじゃな?】
マーリンの問いかけに虎鉄は月を見上げる。
一点の曇りもない美しい満月が虎鉄を見つめ返していた。
【・・・手を出すつもりはなかった。
 答えは、隆之達で見つけるべきものだから。
 ただ、未央が泣くところを見たら自然と体が動いた。
 ・・・希望には、悪いことをしたな。】
月から未央の自室へと視線を移すと、隆之が未央の頬を穏やかな表情で撫でているところだった。
マーリンもまた同じものを見て目を細める。
【ご主人の悩みはこれで晴れたみたいじゃな。
 ・・・お前さんが動かんかったらご主人はいつまで経っても悩み続けていた。
 とりあえずはそれでいいじゃないかの。】
【そうか・・・ありがとう、マーリン。】
【大したことじゃないわい・・・ところで。】
【?】
穏やかな声から一転して真面目な声色になったマーリンに、虎鉄は首を傾げる。
【クックルとスラフィーネ。
 どっちがピエールとくっつくか賭けんかの?】
【ヲイ!!】
マーリンの言葉に脱力した虎鉄は屋根から落ちそうになるが、それに耐えて突っ込む。
【他人の恋路を賭けに使うのはどうかと思うが!?】
【いや、さっきまでクックルとスラフィーネがそれぞれ希望ちゃん、未央ちゃんのところに来ておってな。
 わしが仲間に入ってから進展がなかったこっちの三角関係も、何か盛り上がりそうなんじゃよ〜。
 気になるじゃろ?
 未央ちゃんがご主人と結婚したら、お前さんもわしらと旅することになるんじゃし。】
【えっ・・・ああ、そうか・・・。】
虎鉄の言葉はマーリンの予想を反して曖昧なものだった。
マーリンは思わず目を丸くして聞き返す。
【未央ちゃんについていくんじゃないのかの?】
【あっ、いや・・・明日が終わった後のことは全く考えていなかったから。
 まあ、そうなるんだろうな・・・。】
【なら問題ないの♪
 そうじゃな、わしは・・・、】
【あ。】
そのとき、虎鉄はマーリンの後ろに人影が立ったのを認め、見上げる。
【あ・・・。】
マーリンも虎鉄の視線を追って後ろを振り向いて見上げると・・・、
【やれやれ・・・。
 賭ける側ならいいが、賭けられる対象になるのは良い気分ではござらんな。】
【ピ、ピエール・・・!!き、聞いておったのか!?】
突然のピエールの登場に、マーリンが慌てふためく。
【夜稽古の帰りに2匹が屋根の上で話し込んでいるのが見えて、今しがた駆け上ってきたばかりでござるよ。
 何も聞いてはござらんが・・・どうせ、拙者とスラフィーネ、クックルのことでござろう?】
【何でそれを!?】
【それはマーリンの性格を考えば・・・、】
【じゃなくて、お嬢ちゃん2匹のことじゃよ!】
【ああ、そっちでござるか・・・。
 あそこまで態度があからさまなら、いくら拙者でも気づくでござるよ。
 色恋に不慣れとはいえ、そこまで鈍くはないつもりでござるが?】
ピエールが呆れたようにため息を吐いた。
【まぁ・・・そうじゃな、うん。】
最初は慌てて問い詰めるだけであったマーリンだったが、ピエールの冷静な返答に納得して落ち着いた。
すると、今度は目を好奇の色に変えて、
【・・・で、それで?
 クックルとスラフィーネ、お前さんはどっちが好みなんじゃ?】
ゴシップ好きなマーリンは、目をキラキラさせてそわそわしながらピエールの返事を待った。
その隣にいる虎鉄は呆れて心の中でため息を吐いていた。
対するピエールは慌てるでもなく、凪いだ湖面のように落ち着いた様子で、
【今はまだ、己の望む侍道を極めてはいないので、どちらも選ぶつもりはないでござるよ。
 2匹の気持ちは嬉しく思うでござるが、拙者は我が道を極めることで精いっぱいでござる。】
と、己の思うがままを正直に答えた。
それを聞いてマーリンは、
【なんじゃつまらん。こーの、堅物が。】
と言ってすねてそっぽ向いてしまった。
しかし、
【・・・ま、その方がお前さんらしいわい。
 クックルとスラフィーネは苦労するじゃろうがな。】
と言ってニヤリと笑う。
ピエールもまた微笑み、
【女子2匹には申し訳ないでござるが、それが拙者の生き様でござるからな。】
と返した。
マーリンとピエール。
苦楽を共にする仲間同士が楽しそうに笑い合っていた。
虎鉄はそんな2匹の絆を見てすがすがしく思った。
――不意に、2匹の笑い声を聞いて、
【・・・ふぇ?】
【むにゃむにゃ・・・あれ、ピエール?】
マーリンの腕の中で眠っていたスラりんとドラきちが目を覚ました。
【おお、すまんな。起こしてしまったのう。】
【ううん、いいの。
 ・・・あれ、そうだ!ボク達、クックルちゃんとスラフィーネちゃんを探してたんだ!!
 ピエール、クックルちゃんとスラフィーネちゃんは見なかった?】
目覚めて本来の目的を思い出したスラりんが、ようやく会えたピエールに尋ねた。
ピエールは、
【2匹なら宿に戻るのを見たでござるから心配いらないでござる。
 もう夜も深い。
 そろそろ宿に戻るでござるよ。】
と、小さい子供を諭すように優しく答えた。
【うん♪】
ピエールの答えに、スラりんは素直に返事をする。
するとそのとき、
【あっ!たかゆきだ!】
皆の頭上を元気に飛び回っていたドラきちが、屋敷から隆之を出てきたのを見つけた。
隆之に見つからないように、マーリンがドラきちの尻尾を掴んで引き寄せ、
“しーっ”と人差し指を口に当てて静かにしてもらう。
様子を見ていると、隆之はこちらの方には目もくれずに去っていった。
ピエールはそれを見送ると、
【・・・どうやら、これでご主人は安心して眠れるようでござるな。】
と安心したように呟いた。
【何で?たかゆき眠れなかったの?】
ピエールの呟きに、ドラきちが尋ねる。
【隆之は誰と幸せになりたいか決められずに悩んでいたんだよ。】
ドラきちの問いに虎鉄が答えてやる。
それに対して、
【何で?隆之も未央ちゃんも希望ちゃんも、
 ピエールもクックルちゃんもスラフィーネちゃんもドラきちにマーリンに虎鉄に・・・、
 皆で幸せになればいいじゃな〜い。】
いま一つ納得がいかなかったスラりんが体をプルプルさせながら尋ね返した。
それに対してマーリンは困ったように笑いながら、
【それが1番なんじゃがの、大人には年を取っても一緒にいたいのは誰かを選ばなきゃいけないときが来るんじゃよ。
 スラりんもドラきちもまだ子供だからわからないがの。】
と、説明する。
スラりんもドラきちは、
【そうなんだ・・・ふ〜ん。】
【おいら、まだわかんない。
 みんな一緒なら楽しいのに・・・。】
【そうだね♪みんな仲良しがみんな幸せだよ!!】
まだピンと来ないらしい。
ピエールは2匹のあまりにも正直な答えに、
【そうでござるな。
 ・・・でも、大人は子供より欲しいものが多くてわがままになってしまうでござるからな。
 きっと、幸せの見つけ方も難しくなってしまうでござるよ。】
子どもならではの純粋さが眩しく思えて、2匹の頭を撫でてやる。
【出来れば、誰も苦しまないでいて欲しいでござるよ。
 でも、苦しんだ果てに得た幸せはとても素晴らしいものであるはずでござるから。
 スラりん、ドラきち。
 2匹が大人になって辛いことがあっても、幸せを諦めないように心を強く持つでござるよ。】
【【はーーい!!】】
大人の言葉がどれだけ2匹に伝わったかはわからない。
それでもスラりんとドラきちは元気な声で返事をした。


 ――ピエール達が宿に帰って床につく。
それぞれの長い夜を見守っていた美しい満月もついにその役目を終えて、山の向こうに帰っていった。
そして隆之、未央、希望。
彼らの運命を変える日の始まりを告げる太陽が東の果てから現れるのだった――。



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